Twitter に書いたのと、ほぼ同じことが出ています。
小谷野敦さんの嫌煙への厭悪は、「全国冷し中華愛好会」の趣かと思っていたが、ご当人は「嫌煙ファシズム」などと敵視している。でも、対象を特化するのもいいけど、真の敵はパターナリズムでしょう。人には愚行権があろうし、法に拠らずにそれらを多数で糾弾するファッショは、対喫煙に限っていない。
巷間ただよう官製楽観的気分を、わたくしに、GMO(government-manufactured optimism)と名付けた。いよいよかという朝が来ても、蒸発せずに居残るのではないかとも思う。とくに市民の公務員に対する、あの信頼感に満ちた言動には、うろたえる。本質的には、赤紙は発行する者よりも配る者が敵なのだ。
近ごろ、バキュームカーが臭わない。汲み取り作業中の脇を少し離れて歩いても、車の排気ガスには気づくので、こちらの鼻のせいではない。かつてあの臭気は街中に放散し放題だった。あたりまえの光景だった。だれかが苦情をいったのか。そのだれかが当の汲み取り作業員だったらよかったのにという期待。
鳥だからこそ見えないものもある。鳥瞰がよいとは限らない。通りからうちの庭を見て、きれいだと言いながら過ぎて行った老人がいた。そうなのかなあとつぶやきながら、家内と窓から見下ろす。花を見るには、角度が要ることを知る。名もない白の重なりは、花を見たかったその彼が作り出したものなのだ。
★地元の小都市で、町おこしのようなイベントがあったので、自分はこれに出かけ、あたらずさわらず程度の見物をしていた。居並ぶ屋台をぬって歩くうち、家の鍵を失ったようで、探している間に、お客が消えていた。若い公務員が現れて、1万5千人の集客でしたと言ったので、それでは少ないと返事した。
バナナを半分こしたら、そのどちらも半分よりも小さく見える不思議。奇人変人でも一人称で作文をさせたら常識的なことを書く不思議。飲み屋の女将やバーテンダーが解決のヒントを口にする刑事ドラマの不思議。芸能人はみな温泉と生食を好む不思議。話はピントを少し外したほうが聞いてもらえる不思議。
死ぬ前の俺よ。すでに「通貨」という語があるではないかと言うなかれ。「パンダ」の来し方行く末を見れば明らか。ジャイアントパンダがパンダと呼ばれるようになり、それまでのパンダはレッサーパンダなどと称される。意味が上書きされ、下位互換ができなくなる。いまや最高学府とは東大のことらしい。
ドラえもんの珍妙。もしそれが現実にある世なら、「タケコプター」とか「どこでもドア」とは呼ばれていないだろう。自動車が車と縮められたように、インターネットもネットと呼ばれるようになった。身近になった新顔からは形容する語が消される運命なのだ。いまに、通貨といえば仮想通貨の意となるか。
キラ星(きらぼし)。間髪(かんぱつ)。習い性(ならいしょう)。鬼面人(きめんじん)。きら、ほし。かん、はつ。ならい、せい。きめん、ひと──。星・髪・性・人・といったありふれたものと形容する語と合体させて異形を示したいのか。濁音や半濁音、拗音は、口に馴染むので、つい使いそうになる。
知りたくもない情報が、どう自分に届けられるのか。いちばん遅くまで知らない者になろうと考えた。うちにはテレビがないし職場や友だちづきあいにも縁はない。田舎ゆえ号外の声も電光掲示板もない。けさ、嫁が新聞の表を上にして床に投げたので、でかいゴチックが居間に踊った。赤紙ならどう届くのか。
外食には、味付けや舌触りのためにか、糖分、塩分、脂質がたいそう練りこまれていて、自分にはどれもおいしく感じる。不快そうに味付けを語る人の舌が知れない。ファストフードもスーパーのお弁当も然り。ゆえに「糖・塩・脂」には気をつけないと摂り過ぎになる。拒否ではなく少しはいただきますけど。
アイコンなど小さな画像がよく使われるが、たいてい意図がわからない。これらは本来、見る側の経験側によって瞬間的に理解できなければ意味がない。解説を見聞きして学習しなければならないのでは本末転倒。それなら仮名一文字で表したほうがまし。そこでいま、アイコンと絵の中間のものを考えている。
いじめられっこのA君は、いつも同級生のかばん持ちをさせられていた。ある日、彼は最強のモバイルスーツを手に入れた。身に付けると人間離れした筋力が得られる。喜んだA君いわく「これでカバン持ちも楽になる」。自動車よりも最速の馬車をほしがった。戦争や公害を思うとき、それもひとつの考え方。
新聞広告に齋藤孝さんの著書が載り、その中で、時間はまとまった長さでないと効果的ではないというフレーズがあった。じつは自分も似たふうに思っていたが、こう文章で書かれると逆の意識が芽生えてくる。齋藤さんは間違った。だから僕は今後、15分を身の回りのひとつの単位として認め、大切にしたい。
鉄道って必要なんだろうか。踏切のような専用信号を持つ連結したバスではいけないのか。都道府県って必要なんだろうか。州と市では不十分なのか。物心ついたときに見たありようを肯定しているだけなのでは? 鉄道は、いまでは存続を求められているけど、はじめのころは、各地で敷設に反対されていた。
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