Twitter に書いたのと、ほぼ同じことが出ています。
この秋、コロナ禍という語を目にしない日はない。わたしは4月11日、メールで初めてこの言葉を使った。用法として妥当かどうか(他の人も使っているかどうか)を確かめるため、卑怯にも検索して調べたことがある。グーグルは使用例を示してくれなかった。「新型コロナウイルス」を使えと言っていた。
★近くにいる従業員に適当な部屋はないか聞いてみた。それではと案内された場所は、もはや部屋とは呼べない、天井も壁も総ガラス張りだった。やたらと横幅のある数段を上がると、目前にイルカショーでも余らすほどの巨大プールが開けてきた。ふちには数人の男女が浸かっているだけ。悪くないと思った。
★床面積の異様に広いホテルを利用しようとしている。最上階の六階は値段が高いとみたのか、若者らには四階が人気のようで、エレベーターを降りるなり広大なフロアの四隅の部屋を目指して駆け込んでいる。中央部には、あらゆるサービスが提供されているが、なすすべもなく自分たちは途方に暮れている。
2020年秋、毎日食べているもの。麦(大麦・燕麦)、大豆(納豆・きな粉・おから・乾燥大豆)、食酢、野菜(キャベツ・ほうれん草・菜の花・オクラ)、海藻(ワカメ・海苔)、魚(サバ・鮭・サンマ・削り節)、カカオ(チョコレート・粉末)。燕麦(カラス麦/オーツ麦)は妹らにも評価されてきた。
★それまで僕らの話す声が聞こえてただろうに、なぜ彼は平然としていたのか。それは、この建物の中にいることが当然の、仲間の声だと思っていたからに違いなかった。それからは現れる公務員の数を数えていた。みるみる数が増し、中庭では男女がボール遊びなどしている。楽しそうだった。別世界だった。
★古い公共の建物に友人ふたりと忍び込んでいる。泥や苔が建物の内部にも侵入していて、廃墟と化している。無論だれもいるはずがないのだが、廊下を回り込んで階段を上がろうとすると、十段くらい上に人がいてこちらを見下ろしている。自分たちは肝をつぶしたが、彼にはとくに驚いたようすがなかった。
通販大手のAやRを装った偽メールは毎日届くが、このごろは文章にも繊細さが欠けるというのか、なんだか、やけくそ気味になってきた。まあ気持ちはわかるけど。「……をお勧めします。それ以外の場合、あなたのアカウントは永久ロック。」とかの体言止めも、和語ネイディブですよは、ちょっと無理筋。
世の中、数字がものを言う。人数を聞いて不安になり売上高を知って安心する。収入を聞いて侮り資産を聞いて嫉妬する。あいつより背は低いけどIQは上。期待と失望、卑屈と傲慢がないまぜに訪れる。世の中、数。比べてばかりいる。でも謙虚は違うかな。謙虚さは、他と比べないから。自立しているから。
「倉庫に住む」「工場に住む」「家の中の家」などで検索するとたくさん出てくる。アンチ住常識を懐に、サッカーの練習ができるほどの巨大な建築物の隅で中央で、テントを張って暮らしたい。二階とは組み立てるもの。イルカのプールがお風呂代わり。屋内のあぜ道は、天窓から入る光が育む雑草だらけか。
6月17日、つまるところ、前日までは他人のイベントとして予想していたにすぎない。前日までのさまざまなシミュレーションはすべて外れた。実の物理的な距離を食らうまでは、ちっちゃな自分の心に、これほど応えるとは、経験するまで分からなかった。他人にはわからない。小さすぎて目にも留まらない。
アイスランドで善人になる。旅行者の話は聞かない。北海道の二割増しくらいの国土に、人口はその十五分の一の36万人。人口密度は3人強。ゆったりにもほどがある。住人の大半は、国語、英語、デンマーク語とトリリンガル。識字率99%以上。GDP/Pは世界6位。軍隊なし。徴兵、やったことない。
「無難」と名付けられたやいば。よかれよかれの習慣が、数少ない人を深く傷つける。傷は深いが、数は少ないからと。井戸は耕作に欠かせないが、耕作の邪魔にはなる。だから深く少なく。みんなでオメラスを歩み去れば、地下室の子どもは餓死すると主張する人々。その部屋さえ覗かなければ無難な人生か。
緊急××宣言──とかが解除され、各地は多くの人出で活気が戻りつつあるらしい。息をつめて潜っていた湖底から首を出したみたいに、笑顔で肩をたたき合っているような声を国営放送局のラジオが伝える。ありゃそんなに辛い期間だったのか。では、何も変わらない日々を過ごしていた自分も、それなりに。
父は九十歳だが、体は別に何ともないようだ。長年糖尿病とは無縁だったが、おととしは、A1cが12.4、空腹時血糖値600台と、重度の値を示した。アメとチョコレートの馬鹿食いのせいか。ところが、経口薬が効いたのか、前回と今回では7.1→6.2。なんだか元気そうだ。まもなく卒寿も卒業。
超高齢の患者では、入院に伴うフレイルの深刻さが声高になってきた。数年もすれば、団塊の世代が、つぎつぎと後期高齢者に該当してくる。医療などの福祉予算が逼迫するにつれて、あたかも飢えに苦しみ切羽詰まったひとつの生き物のように、医療倫理もこの先、それまでにない変容を見せてくるのだろう。
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