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私的 MURMUR
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いまさらだけど、猫のあくびの臭いのする海辺の丁字路で、あの子が僕を見て顔を赤らめたという記憶は、まるで見当違いで、あんたどえらい勘違いしてるよと笑われることも、それを覚えてもらっていることも、本当ならばうれしいだろうに、当時の妄想だったか。経験じゃないなら夢の中でも見つからない。
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「政権批判をするマスコミを懲らしめよ」国民をなめているから、それを言っちゃあチンピラよ、ということも平気で口にする。こんな戯言でも、大衆の首をアドバルーンに向けて捻らせるという疑似体験になる。「○○新聞はやり過ぎた」とか「自虐で食っている」と、低めに揚げて追随する者が出てくる。
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「学者は現実を知らない」「教授といっても世間にゃ疎い」「レッテルを貼っている」喧伝やデマは、大衆が鵜呑みにしやすいようにと、ひと口サイズに切り分けられているようだ。大衆は大きすぎる相手には手は出さない。正規分布のまん中あたりで数の盛り上がりを見せる大衆は、一生を喧伝の中で過ごす。
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いじめによる自殺の問題を国営放送局が流していた。「いじめられているのを知られるのはかっこ悪い」「親に心配をかけたくない」「言えるわけないじゃない」等々。なかなか言えない現実があるんですねえ、などと言外で締めくくる。黙して堪えるという「美意識」を撒き散らす。洗脳にも似たステマ放送。
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三重県の放獣クマ騒動が持ち上がったとき、ぼくたちは養老にいた。しばらくすると養老公園は閉鎖された。園内にある養老天命反転地に派遣されている老齢の警備員は、ここでの巡回は辛いとこぼしていた。あの人は派遣先を平坦な場所に変えられて、少しは楽になっただろうか。労働者派遣法で思い出した。
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選挙権を持つ年齢を十八歳に引き下げる法律が全会一致で可決した。どんなことでも全会一致は不気味。「そりゃ高校生でもアルバイトはするし、消費税という税金は払ってますからね」などと語るテレビ出演者がいた。担税と選挙権の関係ついて言っているのか? テレビもちゃんとした人を選んでほしい。
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家族で丹生のあじさい祭りに出かけた。かつて水銀の一大産地。多気郡の形が中央構造線の直下をなぞる。平安時代には衰退を見せていたという、古い歴史を持つ。いまは紫陽花のクラデーションに村中が染まる。赤い石を拾った。でも本物の辰砂は洞窟の中。
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●家族で丹生のあじさい祭りに出かけた。三重県多気郡多気町(旧勢和村)丹生。かつて水銀の一大産地。郡の形が中央構造線の直下をなぞる。平安時代には衰退を見せていたというほど古い歴史を持つ。いまは紫陽花のクラデーションに村中が染まる。洞窟の入口で赤い石を拾った。でも本物の辰砂は洞窟の中。
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男の放尿には、「押し」と「引き」がある。物心ついてこのかた、自分は引きを重視してきた。押しは尿意に副う排泄行為に過ぎず、次に来る引きの巧拙こそが、放尿の真価を決するのだと。最盛期には、押し・引きのオルタネートを秒毎に実行できた自分だが、いまは反省している。押しこそ本道だったのだ。
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かつて思ってもいなかったものを、いまや正義であると感じている。いまそう言葉に出している。だれかが言い出した言葉を、多数が謳い始めてから自分も使ってみる。文章に主語がない。だれのせいでもない。××を愛している。そう口にした。恋や宗教の話ではない。小さく否定された範囲の、余白は広い。
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弭兵の後「お国あっての臣民。お国のためだから──。そうみんながだまされていたんだ。教育のせい。いまはいい時代だ。でも状況が変わってきた。変えたのは向こうの側だ。おれたち平和ボケだったよね。映像を見た。もうだまされないし。なんたって国益だから。コクエキだから。国あっての自分だから」
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かつて欲しいと思ってもいなかったものを、もはや手放せないと感じている。いまそう言葉に出している。だれかが考え勧めてきたものを、普及しだしてからそれはいいねと受け入れる。文章に主語がない。だれのせいでもない。話はスマホやアプリだけではない。小さく否定された範囲の、余白は広い。
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交差点の信号が青にかわったとき、走り出す先頭車両よりも二番目、二番目よりも三番目の車の方が加速は緩やかになるのが道理で、かつ先頭車両は、自分が二番手や三番手にいたときと同じようにしか動いていない。よってこれを繰り返せば、車の加速度は0に収束し、青信号で進めないという仮説を立てた。
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●いまさらながら、猫のあくびの臭いのする海辺の丁字路で、あの子が僕を見て赤面したという記憶は、見当違いだったのかもしれないと思えてきて、それなら僕は十二歳からこちら、生えてきたキノコを全部摘み取らねばならない、ある意味、脱洗脳。三途の渡り守に最後にささやく言葉はどっちだ。
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三日前の俺よ。お前は「違憲状態」という言葉を作出した裁判官を非難したが、そのじつ、ツイートをする前に「違憲状態」というワードで検索し、それが「窮余の一策」だの「苦渋の選択」だの、巷間、ネガティブな評価が集まっていることを確認していたね。──きょうの俺よ。それで正直なつもりか。
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何かを見て真に感動したときには『美しい』という形容詞ではもの足りない。感動は表現しきれない。言葉は心を相手に伝えるためには、ちょっと間に合わない代用品なのか。でもそういう性質があるから、聞いた言葉で相手を推し量るという、かけがえのない習慣を得ることができたのかもしれない。
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「違憲状態」って何ですか。裁判官はこんな新語をつくりだす権限があるのですか。リーガルマインドを判決文の中に書く愚かさ。こんなスペクトラムものを許していたら「違憲状態レベル2」とか「最終違憲状態」とか、ゲームじゃないんだから。権威と己の身の安全を斟酌した結果、いろいろ出てきそう。
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きょうが終わり、きょうが始まる。考えるときは、いつもきょう。紅茶に落ちる蜂蜜の糸をながめていた。それは日常。だれも泣かない。
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慕うのは、もはやその人そのものではなく、その人を想っていたかつての自分、という結びなのか。こんなものがあるからしんどい。
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結ばれなかったこの世をうらむのではなく、出会えたこの世に感謝する。ぼくたちをこんなふうにつくってくれた、信じてもいない何かに感謝している。
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