twitter もどき 私的 MURMUR
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奥泉光『浪漫的な行軍の記録』読了。事実を認めた戦記物ではない。濃く重苦しい記述の内に、ミルフィーユのように織り交ざる(つい俳優の八嶋智人さんを連想してしまう)緑川の、それは主人公『私』の分身であるのかもしれないのだが、正体は不明。なんどか読み返したけど、時をおいてもういちど読む。
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実家の家族と食事をしているとき、妹から、ジュラシックワールドはシリーズ第一作へのオマージュが込められているのだと聞かされた。「パンフレットにそう書いてあったから。七百円の」ああ、だから自分のあの感得は自然だったのだなと思う反面、それは制作者が言葉で表現することではないとも思った。
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臭いを出す者は、現代日本にあっては、敗者を意味する。もうすぐ読み終わる本の中に、太平洋戦争末期の南の島で、腐敗して膨満し臭気を上げる日本兵の遺骸の描写が出てくる。臭いを出す者は、そこにもいた。臭いは映画やドラマでは伝わらないのか。あえて避けているのだと思う。かっこ悪くなるから。
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子どものころ、こんないい時代に生れたことを感謝しなさい、と言われた。それを聞きながら、親への感謝のことではないなと直感した。結局は、感謝の相手先を、いま探せということなのだ。なければ近いものを、さもなくばでっちあげる。お国か、共同体か、面前の当人か。ずいぶんと大きなお世話である。
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テレビ局の仕事は、当たり前すぎて当たり前だが、企業から金を取って広告を放映すること。CMとCMの間にある『番組』という時間帯は、CMの効果を上げるための客寄せのイベントであって、喫茶店のマスターが店で個展をやったりライブを企画したりするのと同じこと。まるで、プロ並みの手際ですね。
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お笑い番組やお笑いのバラエティが多い。どのチャンネルを押しても、みな笑っている。スポンサーへの配慮か。口元がゆるみ、頭が空になったところで商品情報を流し込む。「潤いあるお肌のために」なんてコピーを聞かせる、その前に、飢えと病が猖獗するアフリカの惨状を流すなど、選択ミスなのだろう。
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定式化されたボケとツッコミで、一体、無垢の素人が笑うのか。こいつらの漫才で笑うものかと歯を食いしばっている人ならともかく、コンビのお揃いの服装を見てロールシャッハテストが思い浮かぶような人では、とうてい相手にできないだろう。つまりは、足を運び金を出しているからこそ笑うのだろうと。
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ジュラシックワールド3D版を見た。細かいところは細かく、荒い場面は荒く、いい出来だと思う。シリーズ第一作であるジュラシックパークへのオマージュを感じた。二十年以上も前に張った伏線を、いま回収しているかのような、ああ前に見たことあるなあという場面もいくつかあり、それはそれで甘味。
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又吉直樹『火花』読了。二時間かかりました。硬質な部分も多く、ソーメンをすするようにはいかないので、夏場に読むのは不向きかも。お笑い芸人の世界が嫌いになりました。主人公徳永に語らせる形式の、又吉という人物の披露という性質も感じられ、小説としてはぎりぎりのところか。次回作も読みたい。
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読後の感想を述べるさいに、他人の感想文を参考にするというのは、驚きです。なんのためにそんなことをするのでしょう。
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鹿島田真希『その暁のぬるさ』読了。他者と自分の関係性にこだわり続ける保育士に特異な文体で語らせる。その文体、その口吻、アスペルガー障害を持っているかのような、なんでこんなに苦しむのかと、じつは読みながら身につまされている。芥川賞受賞作『冥土めぐり』よりも僕はこちらの方が好きです。
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むかし、ピカソの絵を酷評する評論家がいた。若いころの写実的な作品はまだしも、こんなもの僕はまったく評価しないと言っていた。そのような人はテレビではとんと見ない。見るのは、雨と決まった日に如露を持って集まり、枯死した花に水をかける人。自分の意見が大勢から外れて見えることを恐れる人。
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「離れ島」という意味で「離島」を使うのはおかしい。離陸、離水、離岸、離村、離船、離婚、離籍、離党、離職、離任、離乳。どれにも「離れた○○」という具象名詞の意味はない。なぜ「離れ島」と言わないのか。普段から役人は、かなを含むと恰好悪いし鼎の軽重を問われかねないと案じているのだろう。
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クーラーの効いた部屋で、講習結果のペーパーを膝に置き、「ああ、いい出来だね。この調子だね」なんて言いかけて、ひとり吹き出している。自分、98点なんて点数取ったことない。「手がかり再生」なんて半分しか覚えられない。半世紀前に、親の口から欲しかった言葉をいま自分が言えて、幸せです。
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79歳の母は日常的に車を運転する。先日受けた高齢者講習の結果を見せに来た。百点満点中98点。手がかり再生でひとつ落としたからという。すべての項目で平均値を超えており、視野角検査では178度と、三十歳代の平均値をも上回っていた。高い知能と広い視野角があれば、この夏も乗り切れるはず。
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今度こそと、うな丼@新玉亭(多分津市でいちばん有名な鰻屋)。大はりきりでメニューをなぞる指先も、最後はみんな『並』の上に落ち着く。テーブル席では、サラリーマンがいなくなる午後一時からは、有閑と思しきお年よりが席を多く占める。妹から、むかしの友だちの噂話を聞いた。うな丼、遅い。
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朝日新聞デジタル:第2次大戦中、ナチス・ドイツは「金髪・碧眼(へきがん、青い目)」の子供たちを他国から連れ去り、ドイツ人にしようと企てた。「他国から連れ去り」? 「他国の子供たちを拉致し自国民に仕立てた」ということだろう。この文章の何が問題なのかと目を剥く記者ならば手に負えない。
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「燃料、片道の5倍積載」との見出し。片道の? 特攻機じゃあるまいし。そうか伊豆大島で燃料を補給するのが標準なのか。「通常の積載量の○倍」とは、きっと意味が違うのだろうね。ともかくタンクには入ったんでしょうが。飛行機は燃料が満タン(以下)で問題にされるということを、はじめて知った。
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滑走路の地上近くは摂氏40度を超え、燃料は満タン、定員ちょうどの搭乗。そんな状況でも飛行機は飛ぶものだと思ってました。そうじゃないんでしたね。まあ、誤解でしたが、絶対に乗らない乗り物の話をしていてもしょうがない。あと、人家の近くは絶対に飛ばないでくださいね。落ちるから。
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34度の気温、満タンの燃料、定員をひとり下回る搭乗者。どれも、そしてそれらが合わさることも、よくある話ではないのか。こんなことを墜落の原因だと説くひとの精神状態は確かなのか。もしそれが本当なら、小型飛行機は、家の上だろうが向かいだろうが横だろうが、いつでも飛んでくれるな、と思う。
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小川洋子『注文の多い注文書』読了。クラフト・エヴィング商會への注文と納品という形式のいっぷう変わった書評であり、おもしろい。内田百閒の『冥途』をもういちど読みたくなった。ク商會といえば、アマゾンで買った『どこかに○いってしまった○ものたち』が自室の本棚にある。失いたくない一冊だ。
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7月26日。安保法制反対のデモに参加、というのか、一般人にもかかわらず、自治労の旗の少し後ろに並び、炎天下の二十三号線を漫ろに歩く。国道沿いにある証券会社の、正三十二角形のガラスの壁に映る行進を横目でながめていた。その中にいる自分の姿を探したけど、角度のせいか、見つけられなかった。
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でもね、ものを書いている皆さまに思う。「なぜか」と「妙に」は、もうやめましょうよ。透明に濾しとったはずのスープが、ぽとんと落としたうるさい隠し味で濁るんです。なぜプロの文章にいけしゃあしゃあと居残っているのか、不思議です。
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中村文則『掏摸』読了。氏の作品中最高の出来だと聞いていた。途中で気持ち悪くなって中断していたのを再開した。例によって、主人公≒作者なのだという。文体は別段、読み手を揺すぶる筆力はあると思う。憎い憎い木崎をどうやって惨くやってやろうか、なんて脳内で企画をしていた。悪は書き易いやね。
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小山田浩子『穴』読了。黒い獣、義兄と名乗る気味の悪い人物、いたるところに開く穴、現れては消える大勢の子ども、それらと現実の義祖父との対比。主人公の主婦と血縁のない、それらすべてが何かのメタファーらしいのだけど、いっこうにわかりません。底で醗酵する出産願望によって現れる魔界なのか。
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純文学にネタバレはない。純文学は、読者に挑む果たし状である。読者は、体内のあらゆるものをかき集めて、小説を消化し、ひとつの絵をこしらえる。それは作者と読者の共同制作ともいえるかもしれないけど、隅には読者の落款がある。作者が見ればのけぞるような異形なのかもしれない。
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──いますぐに来れるんなら鰻おごったる。零時十五分前。母からの電話に、家族の心はひとつ。五分で出発した。ところが道中、また携帯にかけてきて、鰻屋は連休だとのこと。そんならいっそイオンの中のラーメン屋で、という流れになり、妄想の中は上うな丼、胃袋の中は寿がきやラーメン。うまかった。
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スーパーで母と会ったので、実家の怖いエンジンのことを聞いてみた。「おまえ、前にも聞いたなあ」母は「恐らく」と付けたあとで声の調子を変えた。「そら、もう捨てたと思うよ。いろんなもん捨てとるみたいやし」前にも聞いたな。母はそう言うと僕から買物袋を受け取り、車で行ってしまった。
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笑えるというのか、呆れるというのか、泣けるというのか、組み合わせ爆発のすごさを子どもたちに教えたいおねえさんの情熱の終わりはない。数学やアルゴリズムの話を超えている。古代、数学と哲学が同じだったことがよくわかる。https://youtu.be/_-KfZCZ4F0Q
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母の実家に灌漑用の、単気筒エンジンがあった。焼き玉エンジンというのだろうか。物静かで思い鉄の塊が、祖父が車輪を回すと、別の身のように身震いし狂ったように猛り始める。ただただ怖かった。餅米を練り上げて餅をつくるのもこいつだった。こんな感じhttps://youtu.be/jzXCD0JnRqM
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