2017-12-26
若者は若者でありたがる。巷間いまの若者は電話が苦手なのだと聞けば苦手にもなろう。新人類と呼ばれたあの人たちは、新人類のモデルケースのように振舞ったし、「十七歳の心の闇」というコピーは十八歳の心にも闇をこしらえた。マスコミが付け火で仕掛けた、○○は○○でありなむとする期待への応答。
2017-12-13
アラフォーの町田康を支持する。「くっすん大黒」「きれぎれ」「権現の踊り子」「浄土」みんなよかった。純文学の作家として、この人の作品は一頭地を抜く。しかし最近のものはあまり好きではない。というか、嫌いかもしれない。というか、過去の全作品を俎上に上げるとならば、嫌いが過半を得る予感。
2017-11-30
★自分の担当した学級新聞の記事が好評で、二十部を売り上げたとの報せが入ってうれしかった。でもそれよりも、クラスにいたあの子にどうしても伝えたいことがあった。手を引いて中庭に連れ出し、いまでも好きだと告白した。あの子は自分のそばに寄ってキスしたような感覚。そのあとは朝陽の中に霧消。
2017-11-27
人様はこうおっしゃる(かも)。ピュア菜に行ったらお肉に野菜、海草にお魚ばかり食べるよね。ご飯を頬張る人なんていないでしょ。みんな本音では炭水化物は好きなうちには入らないのよ。たしかに。でもね、きつい制限はよしたいね。いまは玄米ご飯を毎食75グラム摂っている。何よりその食事が楽しみ。
2017-11-27
人の間に生ずる災いは、小さな見落としから始まる。好ましい態度として地歩を固めた、電波の中の合言葉「おとなの対応」から。「相手にしないのが賢い生き方」という態度が多くの場面で手遅れをもたらす。大きく育った災いには追従者が列をなす。時勢を得て「多勢に副うのが賢い生き方」と転じるのだ。
2017-11-10
時勢とともにスマホは多数の支持を得たが、普及すれば普及以外の現象が出てくる。なんでいまどきスマホも持ってないのと、当時それを口にするのは、若い人ではなく団塊周辺の女性に多い気がした。マジョリティーの側に立った途端に、声をからして対岸を非難する。これは集団ヒステリーの一形態である。
2017-11-10
笑いを得ることは、マジョリティーと意識を共有する行為であるともいえる。漫才は、マイノの言動や仕草をマジョの立場から見下ろして笑いものにしてきた。マイノのぼけにマジョがつっこむ。彼は客の側でもある。お笑い芸とは、客に自身が多数派側にいることを自認させることなのだ。これからどうする。
2017-11-10
「いまではもう……」と「やっぱり……」とどちらが強いのか。恋愛でも、世事においても。若いころそうだったように、いまでも自分は結論を出そうとしている。個別の結論などほしくない。全体としての「やっぱり、こちらが強かったのか」を自分の中で期待している。期待にはそういう性質があるだろう。
2017-10-24
一日の摂取熱量を千五百キロカロリーほどに押さえている。炭水化物は百五十グラムくらい。毎食後に数分間の筋トレと二十分間ほどの歩行かサイクリングが習慣になっている。いつも食事が楽しみ。何を食べてもかまわない。最近、玄米食に切り替えた。体重はこの三ヶ月で八キロ減った。ライザップいらん。
2017-10-18
玄侑宗久『化蝶散華』読了。作者四十五歳の作品となる。描写の巧みさに感服した。比喩も美しい。ずっと前に読んだ『中陰の花』のときよりも文章の技巧を感じた。テーマは娑婆でのお金の作用についてだが、底も表もすべて書かれているので、「世界」と「趣向」の二重構造を読み取ることはできなかった。
2017-10-13
おととい期日前投票を済ませたあと、市役所の出張所で血圧を測った。投票所に人が取られているだろうに、パラパラいる職員はひまそうだった。出会いの場のようにおしゃべりを続ける男女も、カウンターの向こうにいるのだから訪問客ではない。公務員がひまなのは吉。血圧は111と75。脈は少し速め。
2017-10-13
一般に、主人公が巨大イベントに巻き込まれるという形からはじまる小説は、書く側としては楽だという。またそれが、戦渦や厄災など、人類に共通のものであれば、地の文でも、主人公の目線からの文でも、イベントに対する作者の泣きやスタンスを書き込むことで、紙幅をかせぐことも容易になるだろうし。
2017-10-13
東北の津波被害をモチーフにした文芸作品は多い。未曾有の出来事だから物書きにも影響を与えないはずはないとだれかが言い出した。かの災害をどう捉えているかを表明せよと迫られていたかのようだ。いやしくも作家なら何らかの回答を懐に仕舞っているはずだと。作家なら。善意の人なら。日本人ならと。
2017-10-6
戒名は紙に書かれ、俗名は石に彫られる。聖なる名前は人々の記憶に残り、俗なる名前は四つ辻の石碑に残る。自転車を漕いでいると、自動車のウインドウを通しては見えなかったものが見えてくる。ゆっくりと歩く人にはさらに多くのものが見えているのだろう。止まって考えている人には及ばないとしても。
2017-10-2
何十年も前、中学校からの帰り道で、好きな女子の名前を言えと友だちから無理強いされて、出席番号で答えた僕は、数をひとつ間違えていた。のちにその数字が指し示す名は、かけがえのないものになった。あの道は、いまも生徒たちが通う。かけがえのないものをしょっている。そのときは気づかなくても。
2017-9-27
なつかしいゲーム amanita design が残っていた
http://amanita-design.net/games.html
フリーのデモがいくつかある
http://amanita-design.net/samorost-1/
http://amanita-design.net/samorost-2/
http://machinarium.net/
2017-9-27
沼田真佑『影裏』読了。芥川賞受賞作。比喩にしても描写にしても魅力的だから読んでいて楽しい。搾れば脂やミネラルがとれるような栄養素に満ちた文章の連続で、でもときに芳醇さが過ぎた感じがして閉口する。濃い口の文ならいいとは限らないと思った。友情&震災&別れの話らしいのだが、効果は不明。
2017-9-27
池澤夏樹『双頭の船』読了。そうか、これは方舟譚だったか。人はうまいことを言う。それすら気づかずに読んでいた。池澤さんのやさしさなのか、随所に後日談のような甘味を感じた。船の住民は都合のいい馬鹿にしか描かれていない。この船とお話、どこに着地するのかと思っていたら漫画的展開で魅力的。
2017-9-27
山下澄人『しんせかい』芥川賞受賞作。倉本聰さんの富良野塾二期生の体験をもとに書かれているらしい。気の抜けた主人公のキャラは、アメリカのアニメ映画「ザ・ペンギンズ」のリスのフレッドや、三浦しをん原作の「WOOD JOB!?神去なあなあ日常」の平野勇気を連想させて、ちょっと無理役か。
2017-9-16
Aさんを知った時点ではBさんを知らないはずなのに、ふたつの記憶がそろったあとでは、「はじめてAを見たときBに似ていると思った」などと錯覚することが自分にはある。はじめてのAからはじめてのBの時差が14年というケースがあった。あとから追加された気づきが、元の体験とされてしまうのか。
2017-9-3
テンガがイオン(ビッグエクストラの薬局コーナー)に並んでいた。いい時代になった。あと卵にそっくりな形の何に使うのかわからない商品とか。12禁ならともかく18禁の理由がわからん。とりあえず3枚刃のイオンPBの髭剃りを買った。ジレットはプリンターのインク商法と同じで替え刃が高いので。
2017-8-12
強者は表現する必要はない。表現は弱者のものである。己が弱者であるという劣等感が源になっている。百通りある弱さが美しさを描く。絵になるのは、ありもしない優越感をまとう姿や劣等感が描く幻影であって、それは表現をした証である。強者は絵にならない。官報や通達は表現をしない。絵にならない。
2017-7-15
7月15日、県美のテオ・ヤンセン展の初日に出かけた。ストランドビーストの仕組みをあばいてやろうと、きゃつめの足腰をより分けて執拗にカメラを伸ばしていたら、その自分の姿をテレビの記者もしゃがんで執拗に撮っていたと家内に笑われた。写真はテオ氏によると死んだ(!)ビースト。美しい死体。
2017-7-8
イオンモール鈴鹿という複合施設の中に入っている島村楽器で、ビアノの試弾をしているときに集まってきてくれた人々。で結局、弾いているそのピアノを選ぶこととなった。もともと買うつもりで来たのだけど、電子ピアノに慣れているので、グランドピアノのテイストのある高いやつは弾きにくいとぬかす。
2017-8-12
「写狂老人」荒木経惟さん。「(前略)私小説こそもっとも写真に近いと思っているからです」「自分に関係なかったら、写真じゃない。私のことじゃないと小説じゃないのと同じ」「(前略)『結局1人なんだ』って感じのものが写っているのが写真なんだ」熱い言葉を胃袋に仕舞いときどき反芻してみます。
2017-6-20
いまごろ知った、ご親切おせっかいなスマホのキーボード自動修正。テストの意味で「te」と書いて送れば勝手に「The」と直され、イルネージュへ送るという意味の「to il」が「To I'll」へと、英文だとしても意味がわからんし。自動修正、自動大文字入力、スペルチェックを無効にした。
2017-6-16
ぼんちあられ。このお菓子をお店で見つけた小学二年生の自分は、母親に見つからないように泣いていた。こんなへんな名前を付けられたお菓子の袋さんがかわいそうで。──ニンジンさんがお皿に残されて泣いている。なんでぼくだけ食べてもらえないの? そんな話を何百回も聞かされて育った少年だった。
2017-6-16
他人に言えない。幼少より身についた、なんでもかんでも擬人化する性質を引きずり、還暦前のいまでも困る。スーパーで半額シールの貼られたプリンが4つ並んでいたとき、その3つを買い物かごに入れると、残ったひとつが「どうして僕だけあかんの?」と泣いているみたいで、つい4つとも買ってしまう。
2017-6-16
桃谷方子『馬男』読了。図書館でマ行の作家名で探していて偶然見かけた。この人の本ははじめて読む。夫のゲイの相手のかわいい少年への嫉妬、妖艶な老女への反感と嫉妬、年の差のあるかつての愛人との再会、老獪な美老女への嫉妬、母親の愛人の女性と同居するJC、など、個性的な恋の話がてんこ盛り。
2017-6-10
「○○さんはいらっしゃいますか」との電話を受けたとき、当人が他の者と話していて出られない場合には、「あいにく○○は別の電話に出ておりまして(と嘘を言う)」がよいとマナーの本に出ていた。嘘と醇風美俗の共通部分が大きい。というか培養されてきた感がある。アスペルガーの人にはつらかろう。